国画会会員で常に話題作を発表しつづける瀬川明甫の作品は、あり得ない世界を実在の世界以上に刻明に描ききって、見る者をして驚愕させる様な凄みをもっている。完璧な技倆と発想のユニークさ、ゆるぎのない構成の作品は内なる世界の、或いは社会の様々な事象を裏返して見せてくれる様で、暗示的な、予言的な言語を感ぜざるを得ない。しかし作品は暗く、憂うつでは決してなく、啄木や賢治を育んだ岩手という土着的な粘り強さとユーモアに溢れ、実に楽しい。
すぐれた絵は画家の意志にかかわらず、社会性や文学性を孕み、時に哲学的であるが、瀬川の作品もまさにこの様な絵であろう。
とにかく面白く楽しい絵がいっぱいである。どうぞご鑑賞下さい。